猫のオス・メス別『かかりやすい病気』とは!予防策も解説!

2022.04.15

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猫のオス・メス別『かかりやすい病気』とは!予防策も解説!

猫の病気の中には、生物学的上の性別の違いによってかかりやすいものがいくつかあります。

今回はオス・メス別にリスクが異なる疾患と、その予防法について紹介いたします。

 

オス・メス別!!かかりやすい病気

「猫がかかりやすい病気に生物学的な性による差はない」と思われるかもしれませんが、実は違います。

それぞれの性別ごとに、リスクに差のある病気が存在するのです。

ここでは、性別ごとにかかりやすい病気を4つ紹介いたします。

1.子宮蓄膿症(メスのみ)

猫は生後6ヶ月頃から妊娠可能になります。

発情期になると様々なホルモンがかかわって、受精~妊娠ができる体へと変化します。

これは子孫を残すための大切な過程なのですが、一方でこの体の変化は細菌が子宮内に侵入して繁殖しやすくなるという側面も持っています。

子宮内で菌が増殖すると炎症を起こしたり膿が貯まったりして、子宮蓄膿症に発展する恐れがあります。

若い猫にもリスクがありますが、最もかかりやすいのは老齢の避妊手術をしていないメス猫です。

主な症状は水を頻繁に飲む・食欲や元気がなくなる・腹部の腫れ・外陰部から血や膿が出るなどです。

猫には人間のような月経がないので、「出血=異変」と捉えましょう。

ただ、外陰部から血や膿が出ていても、猫が自分でなめとってしまっていて飼い主さんが気付かないこともあります。

さらに、上記の症状が認められた時には既に病気は非常に進行してしまっていることが多いので、避妊手術を受けていないメス猫では、発情後の体調は特に気を付けてみてあげましょう。

2.乳腺腫瘍(メスに多い)

いわゆる「おっぱい」には乳腺という組織があります。そこにできる腫瘍を乳腺腫瘍といいます。

子宮の病気とは異なり、オス猫にも乳腺はありますのでオス猫は全くならない、というわけではありませんが非常に稀で、ほとんどがメス猫に起こる病気です。

猫の乳腺腫瘍の厄介なところは、その約8~9割が悪性であることです。

転移もしやすく、肺やリンパ節に転移してしまうことがよくあります。高齢の猫で多く見られます。

乳房の腫れやしこりがあって気付かれることがほとんどです。

腫瘍が大きくなってくると、表面が壊死したりそこに細菌感染が起こったりすることもあります。

3.尿石症・尿道閉塞症(オスに多い)

尿石症は尿中に様々な大きさの石ができる病気です。石は腎臓内や膀胱内にあることもあれば、尿管や尿道で詰まることもあります。

尿石症はメス猫でも発症しますが、結石によって尿道が詰まってしまう尿道閉塞症はオス猫に多く、尿石によって命を落とすリスクに関してはオス猫のほうが圧倒的に高くなります。

尿管や尿道が詰まって排尿や尿の生産が妨げられることは、命を奪うこともある緊急性の高い恐ろしい状態です。

人間もそうなのですが、猫でもオス猫の尿道はメス猫よりも長くなっています。

また、オス猫の尿道はメス猫よりも細くなっているため尿道に石や分泌物などが詰まる尿道閉塞症を発症しやすいのです。

何度もトイレに行っているのに尿が出ない、排尿時に痛がる様子があれば、その日のうちに診察を受けましょう。

おしっこがきちんと出せなくなってから時間が経つと、元気や食欲もなくなりますが、そうなっている場合には既に腎臓にもダメージが及んでいることが多くあります。

尿道閉塞症の他に慢性腎臓病や膀胱炎など、猫では泌尿器のトラブルが多く見られます。

排尿に関するトラブルに気づいたら、すぐに動物病院を受診しましょう。

4.顎ニキビ・スタッドテイル(オスに多い)

顎ニキビ(猫ざそう)は、下顎に黒いボツボツができ、悪化すると細菌感染や炎症を起こす皮膚疾患です。

細菌感染が重度となると膿が出ることもあります。

スタッドテイルは、しっぽの背中側の付け根がベタつく皮膚疾患です。

顎ニキビ、スタッドテイル共に、皮脂汚れや毛穴詰まりから始まり、悪化すると細菌感染や炎症を起こし、治療が必要になります。

顎ニキビは、オス猫により多く見られると言われることもありますが、性別に関係なく見られます。スタッドテイルはメス猫にも起こる病気ですが、男性ホルモンの影響があると考えられ、オス猫で多く見られます。

どちらも、汚れ程度でしたら家庭で清潔にしてあげるだけで済む場合もありますが、悪化した場合には動物病院で診てもらう必要があります。

愛猫の異変に気づいたら、一度診察を受けましょう。

病気を防ぐ方法

上記の病気には予防やリスクを減らすことが可能なものがあります。

ここからは、病気を防ぐ手段を紹介いたします。

避妊手術

メス猫のみが発症する子宮蓄膿症とメス猫に多い乳腺腫瘍。

どちらも避妊手術を受けることによって発症を抑えることができます。

将来的に繁殖を望まない場合、最初の発情期が起こる生後6ヶ月頃までを目安に検討してみてください。

子宮蓄膿症は、基本的には避妊手術で子宮を取ってしまえば起こりませんが、たまに避妊手術で切った子宮の断端に膿が貯まる子宮断端蓄膿症が起こることあります。

子宮断端蓄膿症は卵巣が残っている場合により起こりやすくなります。

乳腺腫瘍は、生後6ヶ月以前に避妊手術を行うと発生リスクが約91%も下がると言われています。

水を積極的に飲んでもらう

猫は砂漠で生活していた動物なので、今でもあまりたくさんは水を飲まない子が多くいます。そして、もともとよく濃縮した尿を出す動物です。

尿が凝縮されると石ができやすい環境になるため、結果的に尿石症や尿道閉塞症が起こりやすくなります。

日頃からいつでも新鮮な水が飲めるように配慮し、水を入れるお皿の大きさや深さ、高さ、材質、そして水の温度などを猫の好みのものにし、複数個所にお水を置いてあげ、できるだけたくさんお水を飲んでもらうようにし、尿が濃くなりすぎないように予防していきましょう。

また、尿石症や尿道閉塞症の治療を行ったことがある場合には、療法食だけを食べることを指示されていることが多いと思います。

病院からの指示に従って、「食べてよい」と言われているもの以外を食べさせないことも、再発防止に重要です。

皮脂が溜まりやすい部位を清潔にする

下顎やしっぽの付け根は食べ物のかすや皮脂、分泌物などによって汚れが溜まりやすいポイントです。

お風呂に入れることが困難でも、時々人肌程度に温めた濡れタオルや濡れガーゼなどで汚れを拭きとり、ケアをしてあげましょう。ただし、こすってはいけません。皮膚を傷つけ、細菌感染や炎症が起こりやすくなります。

清潔にすることで、顎ニキビやスタッドテイルが悪化するのを予防できることがあります。

まとめ

性別によって発症しやすい病気に差があることに驚いた方もいらっしゃるでしょう。

特に尿石症は、命を脅かす危険がある尿道閉塞症を引き起こすことがありますが、尿道閉塞症は性別による発生頻度の差が大きい病気です。

猫への接し方や好みの遊び方に関しては、あまり性別を意識しなくても良いのですが、病気に関しては少し意識してみてください。

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